2022年度「平和のきずな献金」 学習資料

 

                 

ルワンダで平和構築を学ぶ学生への奨学金

 

 

        (日本バプテスト連盟 国際ミッション・ボランティア 佐々木和之さんの活動を通して)

 

 

1.

皆さんは、ルワンダという国を知っていますか?

左側の女性たちは、昔から伝わるルワンダの踊りを踊っています。両手を大きくいっぱいに広げて、牛の大きな角を表しています。ルワンダの人たちにとって、牛は無くてはならない大切なものなのです。これからそのルワンダにある教会が一緒に作った大学で、平和な関係をつくり方を学んでいる若者たちのお話しをします。


2.

ルワンダは「千の丘の国」と呼ばれ、緑豊かな美しい国です。アフリカのほぼ真ん中にある小さな国で、北海道の3分の1くらいの広さです。ルワンダ語という共通のことばを話す人々が約1300万人ほど住んでいます。以前はフツ、ツチ、トゥワという3つのグループに分かれていましたが、今はそのように分けるのをやめ、ルワンダ人として暮らしています。ルワンダには世界でもめずらしいマウンテンゴリラがいます。皆さんは動物園で見たことがありますか?


3.

ルワンダには、ヨーロッパからの宣教師によってキリスト教が広まりました。でもその一方で、3つのグループの仲が悪くなってしまいました。そして今から28年前に、大虐殺というとても恐ろしいことが起きました。当時、フツの支配者たちがフツの人たちに向かって「ツチを皆殺しにしろ」と命令したのです。そのために80万人ものツチの人たちが殺されてしまいました。その時ルワンダにいたツチの人たちの4人のうち3人が殺されたのです。教会に逃げこんだ人々もいましたが、子どもを含めてたくさんの人が殺されました。


4.

今ルワンダは、アフリカで一番安全な国になっています。けれどもルワンダの多くの人々は、悲しみからまだ立ち直っていません。左の写真は、遺体が見つかったお葬式の写真です。毎年、新たな遺体が見つかっています。右の写真は犠牲者を憶える集まりに参加し、泣きくずれる女性たちと、そばで支える女性たちです。虐殺した人たちの多くは、もう刑務所から出てくることを許され、故郷の村や町に帰ってきています。その同じ地域に、虐殺で家族を殺された人々も暮らしているのです。とても複雑ですね。


5.

佐々木和之さんは、2000年に初めてルワンダを訪れてから、ルワンダで憎しみを乗りこえ、仲直りしようとする人たちを支えるために働いてきました。写真右端の女性と左端の男性は、虐殺を生き残った被害者の人々。写真の右から二番目の男性は、虐殺に加わったため、長い間刑務所にいた後、村に帰ってきた加害者の男性です。この男性は、自分のしたことを「ごめんなさい」と謝り、他の加害者たちと一緒に、被害者たちのために5軒の家を建てました。被害者たちは彼らを再びなかまとして受け入れ、その後、ブタを育てて売る活動をいっしょにしています。


6.

佐々木さんは2011年、ルワンダの教会が作った大学(プロテスタント人文社会科学大学、略称PIASS)に招かれ、平和をつくり出す人々を育てるためのコースを立ち上げ、平和学の先生として働いています。最初に写真に写っている6人の若者がこのコースに入学しました。この若者たちは、皆、親兄弟や親戚を大虐殺でなくした人たちです。「二度とあのようなことを繰り返してはならない」と決心して、平和をつくるために学びはじめたのです。


7.

現在、平和学のコースには、アフリカの9つの国々から集まってきた90名の若者たちが学んでいます。神様の祝福により学生の数もずいぶん増えました。ほとんどの学生たちはキリスト者ですが、少数ですがイスラム教徒の学生もいます。多くの学生はお金がないため、奨学金で学んでいます。

 皆さんからの「平和のきずな献金」は、奨学金として献げられます。


8.

日本の大学との交流も活発になってきました。毎年、日本の大学生が1年間留学しています。また、ルワンダからも毎年日本に行って、東京の大学に1年間留学します。アフリカと日本の若者たちが友達になり、その後も共に学び合い助け合っていけるよう、交流が続けられているのです。


9.

PIASSの平和をつくりだすコースでは、争いのあるところに平和をつくり出すために役立つ方法を学びます。左の写真は、争いが起こった時、相手をやっつけようとするのではなく、話し合って解決する方法について学ぶ授業の様子です。右の写真は、演劇を用いて平和のメッセージを伝えたり、人々に大切な問題を問いかける方法を学んでいる授業の様子です。


10.

大虐殺の後、仲直りして一緒に働いている方たちを招いて、お話しを聴く授業もあります。大虐殺で殺された側の人たちと殺した側の人たちが仲直りし、同じ場所で生きていくことは、神様が助けて下さらなければ決してできないことです。神様に導かれ、平和を求める人々と出会うことによって、PIASSの学生たちは、争いの後に仲直りすることはとても難しいけれども、神様の力によってそれが出来ることを知るのです。


11.

若者たち一人ひとりが平和をつくりだす者としと成長していくだけでなく、互いに友達になり、卒業後も共に祈り合い助け合っていくこと、そして、平和をつくりだす人々の輪を拡げていくことを目指しています。これまでに60名が卒業し、アフリカ各地で平和のために働いています。また、ルワンダで学んだ日本人留学生も30名になっています。中には、日本の大学を卒業後、アフリカで平和のために働く人たちも出てきています。


12.

神様が、PIASSの学生や卒業生を平和のために用いてくださるよう、どうぞお祈りください。

 学生たちが十分に学び、ルワンダから平和をつくりだす働き人が生まれるよう、お支えください。


写真・文:日本バプテスト連盟 国際ミッション・ボランティア 佐々木和之

製作:NCC教育部 2022年9月   (写真の無断転載はご遠慮ください)