2021年度「平和のきずな献金」 学習資料

 

 

                 

タンザニアのお母さんと子どもの健康といのちを守るために

 

 

(日本キリスト教海外医療協力会[JOCS])

 

 

① 子どもの笑顔には不思議な力があります。子どもの笑顔には、人を元気にしたり、幸せにする力がありますね。

皆さんは、タンザニアという国がどんな国か知っていますか?タンザニアの子どもたちの笑顔には「いのち」が満ちあふれています。でも、5歳の誕生日を迎えることができないで、死んでしまう子どももたくさんいます。どうしてだと思いますか?

 


② タンザニアは、アフリカ大陸の東側にあります。アフリカで一番高い山「キリマンジャロ」や、ゾウやキリンなどの野生動物たちがいる国立公園がある自然が豊かな国です。また、40%の人がクリスチャンです。

タンザニアには、まだまだ貧しい生活を送っている人々がたくさんいます。病気になっても、近くに病院がなかったり、お金がなくて病院にいくことができない人もいます。食べるものが十分でないために元気に育たない子どもたちもたくさんいます。

 


③ なぜ、タンザニアの人々や子どもたちは健康に生きられないのでしょうか。大きな理由は、きれいな水がなくて清潔に暮らせないからです。そのため、マラリアやウイルスにも感染しやすいのです。

さらに、充分な食事がとれず、近くに病院もなく、病院があってもお金がなく、お家の仕事を手伝っ

て学校に行けない子どもたちが多いのです。その中には、小学生や中学生の年齢で結婚して赤ちゃんを産むこともあるため、出産や病気についての知識がないままの人もいるからです。

 


④ タンザニアの中でも、特に人々が健康に生きることが難しい地域の一つがタボラ州です。タンザニアの大きな都市ダルエスサラームからは、飛行機で1時間半、車で移動すると約12時間かかります。

タボラ州にあるカトリックの大司教区の中には、10の病院があります。特にたくさんのお母さんと子どもの健康やいのちが失われていることが問題になっています。

 


⑤ 一つの例として、生まれたばかりの赤ちゃんが、1か月以内に死んでしまう数です。日本でも1人の尊いいのちが失われているということも忘れてはいけません。また、お母さんが赤ちゃんを産むとき

に死んでしまうお母さんもたくさんいます。タボラ州では、たくさんの神様からの大切ないのちが失われているという現実があることに、心が痛みます。

 


⑥ なぜ、お母さんと子どものいのちが守られないのでしょうか。

理由は、お母さんがお腹に赤ちゃんがいるときに健診を受けなかったり、赤ちゃんを病院で産まないお母さんがいるからです。家から病院が遠かったり、お金がないためです。車を持っている人はいませんから、ほとんどのお母さんが自転車か歩いて、1時間くらいかけて病院に来ます。健診を受ける習慣がないお母さんもいます。病院で赤ちゃんを産むことを知らず、家で産むほうが安全、と思っているお母さんもいます。

 


⑦ 健診はなぜ必要でしょうか。

赤ちゃんがお腹の中にいるとき、どのくらい大きくなっているか、健康に育っているか、そしてお母さんの健康に問題がないか、貧血はないかなどを確認して、赤ちゃんが健康にうまれてくるための準備をします。生まれた後は、赤ちゃんが順調に育っているか、栄養がとれているか確認し、予防接種をします。でもタボラ州では、特に赤ちゃんを産んだ後に健診を受けるお母さんが少なくて、10人中9人のお母さんが1回しか健診をうけないのです。

 


⑧ いのちが守られない大きな理由は、一つ目はタボラ州の病院で働くお医者さんや看護師さんがすくないこと、二つ目はお医者さんや看護師さんが病気を治したり手当てをするための勉強がたりないこと、病院の設備や道具が十分にそろっていないこと、です。例えば、お腹の赤ちゃんの心臓の音を確認するために、「トラウベ」というラッパみたいな道具を使います。救急車も日本の救急車とは違います。

そのため、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)は、病院で働いているスタッフに「奨学金」を出しています。「奨学金」は、貧しくて学校に通うことができなかった人のために、勉強に必要なお金をサポートする仕組みです。

 


⑨ 日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)は、タボラ州のカトリック大司教区と相談して、「ママナムトトプロジェクト」という活動をはじめました。お母さんが安心して赤ちゃんを産むことができるように、そして赤ちゃんが健康に生まれて育つことを目指しています。

そのために、日本から雨宮春子助産師が、タボラ州の病院の中でも赤ちゃんが死んでしまった数が一番多い「聖ヨハネパウロ2世病院」で現地のお医者さんと看護師さんたちと一緒に協力して働いています。中には、JOCSの奨学金でお医者さん、看護師さんや助産師さんになった人もいます。

 


⑩ ママナムトトプロジェクトでは、まずお母さんたちへの「健康教育」から始めます。健康教育では、赤ちゃんが無事に生まれてくるためには、健診を受けることは大切であることを伝えます。また貧血のお母さんも多いので、食事や栄養について教えます。病院の待合室にきているお母さんたちに対して、健康教室をひらいて、定期的に健診にくるよう伝えていきます。その他にも感染症(ウイルス)から守るための方法や病院で赤ちゃんを産むことの大切さなどを伝えます。

 


⑪ 他にも問題はたくさんあります。これから少しずつ、病院の助産師さんに赤ちゃんを産むときの正しいお手伝いの仕方やお母さんや赤ちゃんの手当の仕方を教えたりするための活動もおこなっていきます。

一人ひとりの尊いいのちが守られ、人々が元気に安心して暮らせるように、お母さんや子どもたちの笑顔であふれた社会になりますように、JOCSと雨宮助産師やタボラの病院で働くお医者さん、看護師さん、助産師さんたちのためにお祈りし、応援してくださいね。

 


 

<お祈り>

神様、わたしたちに一人ひとりのいのちが大切であることを教えてくださり、ありがとうございます。おいしいご飯を食べることができて、学校に通って勉強したり、お友達と遊ぶことができる毎日をありがとうございます。タンザニアの子どもたちやお母さんたちのことを思います。どうかみんなが元気に笑顔で暮らすことができるように、健康といのちを守ってください。

イエス様のお名前をとおしてお祈りいたします。アーメン

 

写真・文:日本キリスト教海外医療協力会[JOCS]

製作:NCC教育部2021年9月

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