➀　挨拶

これからブラジルのオリンダという都市にある小さな教会の活動についてご紹介します。教会の名前は、アルト・ダ・ボンダージ・メソジスト教会といいます。まず、アルト教会がどこにあるのか地図を見てみましょう。

➁　南米の地図

これは南アメリカの地図です。ブラジルは南米でも一番大きな国で、日本の約23倍の面積があり、およそ2億人が住んでいます。この地図にはありませんが、オリンダ市はペルナンブコ州の州都レシフェの隣にあります。アルト・ダ・ボンダージ地区はオリンダ市にある貧しい住宅地です。

➂　貧富の差を表す地図

ブラジルの一番困った問題は、金持ちと貧しい人々の生活の格差（違い）が大きく、とても不平等なことです。この地図はそのようなブラジルの貧富の差を表わした地図です。赤が「貧しい地域」で、緑色は「豊かな地域」です。オリンダ市が貧しい地域にあることがわかりますね。仕事、家、病院、学校、電車やバスがあるかという「5つの項目」について調べ、それらが十分でない地域を「貧しい地域」としています。

➃　貧富の差

同じ都会でも貧富の差はよく分かります。高層アパートが立ち並ぶ高級住宅地のすぐ近くに、とてもひどい状態の家があるのがわかりますね。

➄　アルト・ダ・ボンダージ地区

アルト・ダ・ボンダージ地区には約１万５千人が住んでいます。失業中や無職の人が多く、生活は大変です。ここに公立の小学校が3つ、中学校が1つあり、約5千人の生徒が学んでいます。また、保健診療所が２つありますが、病人が多くて、お医者さんに診てもらえないこともあります。

⑥　アルト・ダ・ボンダージ地区

表通りから一歩中に入ると泥の道が多く、雨が降ると歩けなくなるほどです。電気はありますが、水道が出るのは3日に一度です。都市ガスはなく、プロパンガスのボンベを買わなければなりません。道の真ん中には下水が「ドブ」になって流れていて、ネズミや蚊などが発生しとても不衛生です。

⑦　アルト・ダ・ボンダージ・メソジスト教会

アルト・ダ・ボンダージ・メソジスト教会は１９８７年にアメリカ人宣教師のダヴィ牧師によって始められました。最初にできたのは託児所でした。働くお母さんたちが子どもを安心して預けるためです。アルト教会はその一室を借りて礼拝をしました。その後、アメリカの教会の援助もあり、数年かけてこの丸い会堂を建てました。礼拝では、ギターとドラムで元気いっぱいに賛美します。

⑧　教育活動の開始

この地域には、安全で楽しい子どもたちの活動が何もありませんでした。アルト教会は子どもたちを麻薬や犯罪から守り、神様の愛を伝えたいと望んでいました。２００９年に小井沼眞樹子宣教師がこの教会に来てから、礼拝音楽が豊かになるようにとギターやドラムの音楽教室を始めました。音楽だけでなく空手教室もはじまり、おとなから子どもまでたくさんの人たちが喜んで教会に集まってきました。

⑨　活動の発展と縮小

アルト教会の教育プロジェクトは、たくさんの子ども、若者、大人たちが学ぶ場所となっていきました。

２０１５年に小井沼宣教師の仕事が終わると日本からの支援がなくなり、活動を減らすことになりました。

今は、空手教室とギター教室だけですがとても人気があります。家族や教会員を招いて発表会もしています。

⑩　平和の文化を築くために

教育プロジェクトを通してアルト教会が目指しているのは、「平和の文化を築く」ことです。

新しいことを習い始め、少しずつ上達していく喜びを味わうとき、生徒たちは自分の可能性を発見します。そして友達を自分と同じように尊い存在として認められるようになります。自分自身を大切にし、友達も大切にすること、周りの人たちと良い関係をつくれるようになることが、平和の文化の小さな一歩になるのです。

⑪　参加者の声

最後に、教室に参加している生徒の声を聞いてみましょう。

☆ぼくの名前はビクトール、17歳です。ギターを習ってから、自分の家族と仲良く暮らせるようになりました。教室では行動に責任を持つことや、社会の良い市民になるように教えてくれます。

☆私の名前はクリラーニ、25歳です。空手を習い始めてから、自分が好ましい人間に変わってきていると感じています。他の人々をもっと尊敬するようになりました。

あるお母さんも、「息子が空手に通うようになってから、彼に良い変化が現れていると思います。この教育プロジェクトは子どもたちの成長を助け、勉強するように励まし、麻薬から抜け出すのを助けています」と言っています。