2018年度「平和のきずな献金」 学習資料

 

 

バングラデシュ 視覚に「障がい」のある子どもたちの教育支援

「バプテスト宣教統合学校」

 

 

日本盲人キリスト教伝道協議会

 

1.タイトル

日本盲人キリスト教伝道協議会(盲伝)が30年間も交流しているバングラデシュの学校を紹介しましょう。この学校は1977年にイギリスのバプテスト教会の女性宣教師キャンベル先生によって始められたバングラデシュでただ一つの女の子のための盲学校です。今は、80人の目の見えない生徒と一緒に、目の見える子どもたちも学んでいます。

 

2.学校全景

この写真は学校の運動場と中庭です。教室の裏側が正門で、向こうには首都ダッカの高層ビルが見えますね。この学校はミルプールという賑やかな下町にあります。運動場の手前に講堂、食堂、寮があります。バングラデシュは、インドの東側にある国でベンガル湾に面しています。有名なガンジス川や多くの水路がある緑豊かな国です。でも、雨期や台風の季節になると水害が起こり、この運動場も水の底に何回も沈んでしまいました。

 

3.講堂に集まって

講堂に集まってよく発表会をします。特にお客さんが来ると大賑わい。みんな歌や踊りが大好きで上手です。そうそう演劇も得意なんです。「スタディーツアー」(見学)で、日本の視覚障害の方(目が見えない方々)も何回も訪ねています。その時は、讃美歌やバングラデシュの歌、インドの有名な詩人タゴールの詩を暗唱して歓迎してくれました。演劇では、目の見えない女の子がこの国でどんなに差別されて苦労しているかという劇でした。

 

4.授業風景

机の上には点字の本があります。もちろんベンガル語の点字の本です。生徒さんの制服や椅子とテーブルがとてもカラフルですね。みんなお洒落が大好きです。勉強の得意な子もそうでない子もいるようで、それはどこの国でも同じですね。バングラデシュは小学校5年、中学校5年で、卒業前に国家統一試験があり、合格すると高校に進めます。高校卒業前には2回目の国家統一試験があり、合格すると大学に入学できるのです。この盲学校で一生懸命勉強して大学に進学した視覚障害の女の子が何人もいます。すばらしいですね。

 

5.Cultural training (音楽・器楽・演劇などの実技演習)

音楽の練習風景です。生徒さんたちは歌が得意ですが、楽器の演奏も大好きです。打楽器をたたき、アコーディオンを箱形にした小さなオルガンで伴奏します。この楽器はハルモニウムと言います。左手で箱の後ろにある蛇腹を動かして空気を送り、右手で演奏するのです。バングラデシュの歌や曲は独特のメロディーで、聴いていると不思議な感じがしてきます。皆さんは聞いたことありますか?

 

6.Dining (一緒にホールで食事)

楽しい食事の時間です。バングラデシュの食事はご飯とカレー。皆さんもカレー大好きでしょう。バングラデシュでは日本とはちょっと違い、指を使って上手に食べます。カレーがさらっとしていて、ご飯もねばっこくないので、指で食べられるのです。日本から訪問した視覚障害の方も挑戦してみたら、割と上手に食べられましたよ。バングラデシュの食事は3食ともほとんどカレーです。カレーの種類は牛肉の入ったカレー、鶏肉の入ったカレー、魚の入ったカレー、そして野菜だけのカレーがあります。

 

7.Dormitory (寮での生活)

生徒さんたちは学校の寮で、大きな部屋に大勢で暮らしています。自分のベッドが自分のお部屋で、この生徒は手芸をしています。学校の授業では、裁縫・手芸、編み物、絨毯織りなどを学びます。寮では自分の好きな服を着ます。女の子たちが着ているのは、サロワカ・ミユーズです。ワンピースとズボン、スカーフがセットになっていて、皆とてもお洒落です。結婚した女の人は、サロワカ・ミューズではなくて、サリーを着ます。サリーは一枚の大きな布を体に巻き付けるインドの女性の着物です。

 

 8.Free time (自由時間)

自由時間に校庭で楽しいお散歩です。少し目が見える生徒さんが全く見えない生徒さんを案内しているようです。一口に視覚障害と言っても、少しずつ違います。全く見えない人、視野の狭い人、視野の中心部が見えない人、ぼんやり光が見える人などいろいろです。盲学校では少しでも目が見える生徒さんが全く見えない生徒さんを助け、協力して生活しています。写真の二人のサロワカ・ミューズもとってもカラフルですてきですね。

 

9.Handicraft Training (工芸作品制作)

手芸の時間です。いろんな布やリボンを模様にして紙に貼り、クリスマスカードやグリーティングカードをつくります。学校ではこのように職業訓練的な授業もあって、紐を巻いてマル椅子を作ったりもします。こうしてできあがった製品は販売もされていて、学校の教育資金となります。盲人伝道協議会でも毎年このカードを購入して販売しています。

 

10.Class room (ソロバンの練習)

授業風景の一コマです。ソロバンを使って算数の計算をしています。日本のソロバンはアジアでは人気が高いのです。皆さんはソロバンを使えますか?昔日本では、「読み、書き、ソロバン」と言って、教育にソロバンは大切な道具でした。でも、簡単な計算機が安く売られるようになって、日本ではソロバンは忘れられているようです。そのソロバンがバングラデシュでは活躍しているのです。

 

11.Computer training (パソコン技術の習得)

視覚障害者用の音声ソフトを使って、熱心にパソコンの勉強です。いろいろ難しいことを覚えなければなりませんが、知識がぐんと広がります。盲伝では2015年この学校の今の校長先生であるモモタさんを日本に招き、視覚障害関連施設や盲学校を見学していただいて、学校の現状とビジョンをうかがいました。モモタ先生は、生徒たちがパソコンを学べれば社会ともっと交流しやすくなり、生徒たちの人生が大きく開けるに違いないと言われました。また、学校には旧式の点字印刷用プリンターが1台しかなく、それは主に教科書を印刷するために使っているそうです。今後、子どもたちに有益な文学書などを点訳して印刷する環境が整えば、是非図書室を作りたいとも言われました。

 

<まとめとして>

 この学校はキリスト教主義の学校ということで、国民の90%の人々がイスラム教のこの国では運営資金の援助が得にくいため、指導に役立つ資料や教具が不足しています。それでも、今見ていただいた写真でわかるように、生徒たちは元気に勉強したり、歌ったり踊ったり、楽しく学校生活を送っています。この学校から多くの卒業生が、大学へ行ったり、結婚したり、自分の生活を築いています。この写真の生徒たちもいろいろな希望をもっています。そうした望みや夢がかなうために、この学校の活動が少しでも順調に充実していくように私たちはいつもお祈りしています。

 みなさんも、この学校で学んでいる視覚障害のお友だちのことを思って、お祈りして下さいね。きっとそのお祈りは神さまに届いて、バングラデシュの視覚障害のお友だちがとても幸せになると信じています。