2020年度「平和のきずな献金」 学習資料

 

 

「子どもたちの未来がとざされませんように」

                 

 

 

プリキンダーガルテンスクール「里親の会」代表  松本素代美

 

 

① 日本の教会の女性たちが、35年間、祈りながらずっと続けてきた活動をご紹介します。

それは、インドのプリで暮らす貧しい子どもたちが安心して勉強ができるよう、そして子どもたちにイエスさまの愛を伝えようとする働きと出会ったからです。

 

② 1981年、日本人の小林さんとインド人のモハンティさんが、アメリカの神学校で出会いました。日本に帰った小林さんは大学の先生になり、インドに帰ったモハンティさんは自分の町で貧しい子どもたちに神さまの愛を伝え、勉強できるようにと無料で全寮制の「プリ子どもの家」を作りました。しかし、子どもたちに無料で家と食事を与えて勉強させるには、たくさんのお金が必要でした。それを知った小林さんは、日本バプテスト連盟の女性たちに知らせました。それを聞いた女性たちは、早速インドまで出かけていき、子どもたちが安心して生活し勉強することができるよう祈り、応援する方法を話し合い、1986年から献金を送り始めました。

 

③ インドには約14億人の人が住んでいます。その中の約2億人の人達は十分な食べ物も住む家もありません。子どもたちは生きるためにごみの中から食べ物を探したり、売られたり働かされたりします。

もちろん学校に行く事も、勉強することもできません。

宗教はヒンドゥー教が80% キリスト教は2%で、自由に神さまのことを伝えることもできません。言葉は2000近くあり、英語が話せて読めないと、なかなか仕事もありません。

プリはきれいな海のそばの観光地です。ヒンドゥー教の有名なお寺があり、たくさんの人がお参りにやってきます。

 

④ 1997年、日本からの献金で新しい「子どもの家」が完成しました。次の年、それまで男の子だけだった子どもの家で女の子も暮らせるようになりました。60人の子どもたちはこの家で安心して生活し、学校に通うことが出来ました。勉強がよくできる子どもは大学まで行くことができました。

毎日朝夕、みんなで礼拝をします。日曜日はプリバプテスト教会の礼拝に行き、讃美の奉仕をしました。

しかしインドの政治が変わり、キリスト教を伝える「子どもの家」は2016年7月、閉鎖されてしまい

ました。でも、31年間続いた「こどもの家」から309人が卒業し、そのうち292人が神さまを信じてクリスチャンになったのです。牧師になったり教会のお仕事をしたり、学校の先生になった人もたくさんいます。

 

⑤ 全寮制の「子どもの家」は政府から禁止されたので、モハンティ先生は新たな道を祈り求めました。

先生は、子どもたちから勉強するチャンスを奪ったら決して貧しい生活から抜け出せないことを知っていたからです。神さまが必ず新しい道を用意してくださると信じ、希望をもち続けました。

町は、学校へ行くことができない子どもたちであふれていました。ほとんどは「スラム」と呼ばれるところに住んでいるヒンドゥー教の人達です。モハンティ先生は勉強することの大切さや無料で勉強ができることを親たちに説明して回りました。入学希望者は、すぐに50人の定員いっぱいになりました。

 

⑥ 責任者のモハンティ先生や応援する人たちの祈りがかなえられ、2017年4月に「プリキンダーガルテンスクール」がスタートしました。3才から6才までの子どもたち50人です。子どもたちの未来のために、あきらめないで神さまを信頼し続けたモハンティ先生の信仰に、たくさんの人が希望と勇気をもらいました。スクールでは毎日英語で「主の祈り」を祈ります。賛美をし、聖書のお話しも聞きます。先生たちは子どもたちがイエスさまに出会ってほしいと心から願っているのです。

⑦ 2019年5月、プリの町を大型台風がおそい、スクールも大きな被害を受けて使うことができなくなりました。その事を知った多くの人達は祈り、スクールを修理するための献金を呼びかけた結果、7月から無事再開できました。通学する生徒の家庭はほとんどがヒンドゥー教の家庭です。初めはキリスト教にとても警戒していた人たちも、今は遠く離れた日本のクリスチャンたちの祈りや思いやりに、心から感謝しています。

⑧ インドでも新型コロナウイルスの感染が広がり、プリの町中のホテルや商店は閉まり、スクールに通う子どもの親たちのほとんどは仕事をなくしました。国からの助けはありません。そのため人々の生活はとても大変になりました。1日1食も満足に食べられない子どもたちもいて、命を守るために6月から子どもたちの家庭に食料を配りはじめました。

⑨ 食料配布の日には、お家の人と一緒に子どもたちも食料を受け取りに来ます。コロナウイルスの感染はまだまだ広がっています。たくさんの人たちが列を作って待っているのがわかりますね。

⑩ スクールでの授業はまだはじめられません。子どもたちの勉強がストップしないよう、先生たちは相談して家庭学習のための教材を配っています。教材を受け取りに来た親子には、家庭学習の仕方を教えています。子どもに勉強を教えることができない親もいます。その時は、勉強を教えることのできる人に頼みます。子どもたちが毎日きちんと勉強が出来るように、先生たちは一生懸命準備をします。

⑪ 8月末から、1日7名ずつの少人数に分けて授業を再開しました。放課後には、お母さんやお父さんと一緒にゆっくり遊び、帰る時には「おみやげ」として自宅に持ち帰る食料をわたします。

コロナ感染拡大がまだまだ続くと思いますが、プリキンダーガルテンスクールのモハンティ先生や先生たちは、子どもたちのために希望を失わずに歩んでいます。

皆さんも、インドの子どもたちの命が守られ、健康で楽しく学べるよう、お祈りしてくださいね。

 

 

写真・文:松本素代美「プリキンダーガルテンスクール」里親の会

    製作:NCC教育部 2020年9月

    (写真の無断転載はご遠慮ください)